阿部真央

2019.08.13

シングル「どうしますか、あなたなら」スペシャルインタビュー

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今年1月22日に約5年ぶりとなる日本武道館ワンマンライブ「阿部真央らいぶNo.8~10th Anniversary Special~」を開催。さらに初のベストアルバム『阿部真央ベスト』に続き、ダブルタイアップとなった両A面シングル『君の唄(キミノウタ)/答』をリリースするなど、10周年を迎えて充実した活動を続けている阿部真央から、ニューシングル「どうしますか、あなたなら」が届けられた。表題曲は多部未華子主演のNHKドラマ10「これは経費で落ちません!」の主題歌。しなやかで解放的なメロディと“完璧じゃなくていい。ありのままの自分で生きていきたい”というメッセージがひとつになったナンバーだ。
「原作の小説(『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』)は、どちらかというと“ほんわか系”。ドラマもコメディタッチになるということだったので、主題歌もそれに合うテイストがいいなって。主人公の女の子(多部未華子が演じる、石鹸メーカーの経理部で働くアラサー女性の森若沙名子)は、努力して成長していくタイプでもなくて、“ちょっと視点を変えてみよう”“変わりたいけど、怖い”という思いを抱えているんですよね。リアルな心情を描いた作品なので、そこに寄り添える歌詞を書きたいなと」
「森若さんと私の共通点は、ヘンに完璧主義的なところがあるところ」という彼女。阿部真央自身のフィルターを通しながら、ドラマにも寄り添える歌詞を模索するなかで生まれたフレーズが、“完璧な自分を諦める勇気を”だったという。
「このフレーズが出てきて、それがすごくシックリ来たんです。“完璧な自分を諦める”って、完璧主義の人間にとっては苦しいことだと思うんですよ。自分の指針を手離すということでもあるし、“完璧じゃないと嫌われるかもしれない”という不安もあるので。でも、“そこで一歩踏み出す勇気を持ちたい”と私自身も思っているし、主人公もそうだろうなって。そういう人に必要なのは、自分を解き放つ瞬間だと思ったんです。自分らしさを思い切って出すという瞬間を日常のなかに作れば、いい方向に行くかもしれないよって」
前向きなメッセージをたたえた歌を後押しする、爽やかなサウンドメイクも本作の魅力だ。
「最初はラウドな感じがいいかなと思っていたんですけど、ドラマの制作陣の方から、“ひとつのエピソードが終わって、出演者のみなさんの演技が続いているなかで、曲を重ねたい”という話を聞いて、“だったら、もっと音数が少なくて、爽やかなほうがいいな”と。それをアレンジャーのakkinさんにも伝えて、形にしてもらった感じですね。イントロもすごく好きなんです。ギターのリフが聴こえてきた瞬間に盛り上がる感じに憧れていたし、この曲がそういうふうになったらいいなって。夏フェスでもホールツアーでも、どんな場面でも映える曲だと思います」
カップリングには、アコギの弾き語りによる「この愛は救われない」を収録。切なくも素朴なギターの響き、憂いを帯びた歌声、“どれほど愛しても、きっとあなたは何も捨てない”という歌詞。この曲が描き出す哀切な感情は、まさに阿部真央の真骨頂だ。
 この夏は、ライブ活動も精力的に行っている阿部真央。「阿部真央らいぶ夏の陣~2019」(7月27日(土)/大阪城音楽堂、8月31日(土)/日比谷公園大音楽堂で野音ワンマン)は2公演ともソールドアウト。さらに「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「ここがいつのも夢番地!」「秋田CARAVAN MUSIC FES 2019」などのフェス/イベントにも出演し、9月からは全国弾き語りツアー「阿部真央弾き語りらいぶ 2019」を開催する。
「フェスに関しては、お話をいただいて、「楽しそう!」「やります!」と言ってたら、こんなことになってました(笑)。今年の夏は一人で出るイベントも多いから、自分の弾き語り力を高められると思うし、弾き語りの良さをみなさんに見てもらえるのもいいことだなって。9月には弾き語りツアーもあるし、リリースも続いているし、すごく順調だと思います!」

(取材・文 森朋之)